通行人の顔を識別、追跡実験…JR大阪駅ビル
読売新聞 1月25日(土)16時45分配信
無数のカメラが通行人の顔を識別し、その行動を追跡する。そんなSF映画のような実験が、4月からJR大阪駅で始まる。1日の乗降客は82万人。顔認証技術を用いて位置情報を取得する、
これほど大規模な実験は珍しい。位置情報をビッグデータとして活用する試みは今後、防犯対策などにも広がりそうだが、気になるのは、行動を把握される当人が本当に納得しているのかどうかだ。
実施するのは独立行政法人・情報通信研究機構(東京)。JR大阪駅と駅ビル「大阪ステーションシティ」のうち、地下1階から3階までの改札やコインロッカー、エスカレーターや店舗などに90台のカメラを設置。カメラは3メートル四方にいる人物の顔を撮影すると顔の特徴を抽出してIDをつける。別のカメラが同一人物と認識すると位置情報や時間を登録。その人物の行動履歴を1週間分記録する。顔認証システムを納入した業者によると、個人識別率は99・99%という。
JR大阪駅は1日の乗降客は82万人。駅ビルの入店者は2011年5月の開業以来3億2000万人以上に上り、人の往来は関西最大級の場所だ。
機構は「災害時の避難誘導に役立てるため、人の流れを把握したい」と説明。実験は2年間続ける予定で、集めたデータは顔の画像などを消去した上で、JR西日本に無料で提供する。JR側は「まだ使い道は決めていない」と話す。